演奏家としてMPNに加入してみた話

2019年1月24日

MPNに入ってみたという習字風の文字

MPN。ミュージシャンでもその存在を知っている人はあまり多くないですが、聞いたことはあるのではないかと思います。

すべての演奏家たちに与えられた権利である「著作隣接権」という、作曲や作詞などの直接的な著作権ではない権利を用いて、我々ミュージシャンに著作料の分配代行を行ってくれる、というのがMPNという団体です。

そう言われてもなにやらよくわかんないですよね。私もつい最近まではそうでした。なんとなく存在は知っているけれど、本気で調べるまではいかなかったんですね。

しかし、仲のいいミュージシャンの友人が実際に登録して分配金を受け取ったらしく、絶対にやったほうが良いと言われたので私も音楽家の端くれとしてようやくMPNに入ってみました。

この記事はその時に調べたことや加入の流れ、どれくらいお金が入ってくるのかなどについて書いています。

MPNに興味があるけれど、どういうものでどういうふうにすれば良いのかいまいちよくわからないというミュージシャンの方たちの参考になれば幸いです。

MPNとは

MPNのサイトに書かれている説明をそのまま抜粋してみますね。

演奏家団体(パブリック・イン・サード会、日本音楽家ユニオン、(特非)レコーディング・ミュージシャンズ・アソシエイション・オブ・ジャパン、(一社)日本作編曲家協会、(一社)日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ、(公社)日本演奏連盟)に加盟するミュージシャンを中心に設立された権利処理合同機構です。
文化庁の指定を受けて実演家の権利処理を行う、(公社)日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター並びに映像実演に関する権利処理を一元的に行う(一社)映像コンテンツ権利処理機構のメンバーとして、MPN会員の権利に加えて、実演家全体の権利行使とその拡充をサポートするための活動を行っています。

ーーーーMPN公式サイトより引用

、、、なるほど、よくわからん。

ってなりますよね? 私も今ひとつわからんかったです(汗)。

噛み砕いて言うと、「日本のいろんな音楽家組合みたいなところが協力して立ち上げた、演奏家(ミュージシャン)の著作料を分配代行する組織」ですよってことだと思います。

こういう団体の説明文ってなんでこんなに分かりづらいんですかねぇ。。。

権利関係を扱うところだからどうしても出てくる用語が固くなるのはしょうがないと思うんですけど、ミュージシャンのためを思うならもっとわれわれに分かるように工夫して欲しいものです。

文章が分かりづらいから、得体の知れない感をめっちゃ感じちゃうんですよね。

たぶんこういうところで「MPNなんかめんどくさそうだから入んなくてもいいや」となる人が多い気がする。

MPNに入るとどうなる?

まあMPNの実態がどうなのかは置いておいて、実際に入ってみるとどうなるのか。

そのメリットとデメリットについて調べてみました。

メリット

「分配金が年に二回もらえる」

この分配金というのは、かなり簡単に言うと、レコーディングをした音源がどこかで使われたりすると発生するお金のことですね。

このお金は我々演奏家が持っている著作隣接権という権利によって発生するらしいです。

そしてその権利を行使して然るべきところからお金をもらってきてくれるのがMPNというわけなんですね。

ただ、MPNに登録したら自分がこれまでにレコーディングに参加してきた作品を全部調べてくれるわけではなく、ほとんどは自分で自分が参加した作品を登録申請しないといけないようです。

実際、私もいくつか参加作品があったのに電話確認のときに私の名前が記載されている作品はなかったと言われました(あとでせっせと登録しました)。

デメリット

「分配金の10~15%の手数料が取られる」

MPNはボランティア団体ではないので、きっちり上がりをもらっていきます。

場合によりますが、全部の分配金の10~15%を代行手数料として取られるようです。

このあたりのこととかはMPNのサイトの説明文をよく読んでみてください。

これが高いのか安いのかもよくわからんですが、権利関係の手続きってめんどくさいので、代わりに全部やってくれているならまあいっかなーってなりますよね。

よくわからんが入っておいた方が良いだろうという結論に達した

MPNの実態どころか権利料回収の仕組みもよくわからんけども、登録すれば今まで入ってこなかったお金が入ってくるんだから登録しない手はない、と私は思いました。

権利関係に詳しい弁護士さんとかに詳しく話を聞いたら、MPNを通すよりももっといいやり方が見つかるかもしれませんが、自分レベルのミュージシャンはもともとそんなに著作料は入ってこないと思うし取られる手数料も10%くらいならそれでいいやってなります。

(弁護士さんへの相談料のほうが高くなりそうだしそうなったら元の木阿弥ですよね。)

自分が完全に理解していないものを使うというのは少し怖い気もするけど、人生なんてほぼそういうもので溢れかえってますしね。

スマホも音楽の機材もクレジットカードとかも、全て完全に理解していないのに、目的を達するための道具としてバンバン使ってます。

便利な道具だと感じたらなんでも使うのが人間ですし、そういう意味で言ったらMPNはミュージシャンがお金を得るためのツールに過ぎないんじゃないかなと思います。

てなわけでササッとMPN登録しときましょう!

MPNの入り方

サイトのフォームから契約の希望申請をする

まずMPNのサイトの契約のご案内ページに行って、約款→契約の流れ と進み、そこの契約希望フォームから申請します。

著作隣接権料の請求代行するかわりに手数料をとるっていう話なのでれっきとした「契約」ですね。

契約希望の人のためのページはこちら

(スマホの表示だとそうでもないですが、パソコンの表示だとフォームにいくリンクが分かりづらくて私は5分くらい迷子になりました。右下の方に約款へ行くリンクがあります)

希望フォームに必要事項を書き込んで送信すればおーけー!

担当の人から確認の電話が来ます

サイトから申請して1〜3日以内にはMPNの担当者からフォームに記入した番号に電話がかかって来ます。

その時に改めていろいろ説明してくれますし、分からないことがあったら教えてくれます。

私の担当の方はとても感じのいい方でしたね。サイトの感じからしてちょっと構えてたんですけど、いい人で良かったです。

登録のための資料(契約書とパンフレット)が郵送で届く

電話確認の数日後、フォームに記入した住所に資料が届きます。

その資料の中に契約書が入ってるのでそれに記入します。書く場所や書き方は赤ペンとかで指示されてるのでわかりやすいです。

それに記入したら、その契約書を含む必要書類をMPNに返送します。

必要書類は

  1. 管理委託契約書
  2. 個人番号(マイナンバー)記載書類 (個人番号カードのコピー/通知カードのコピー/個人番号が記載された住民票のいずれか1点)
  3. 身分証明書のコピー
  4. 印鑑登録証明書

です。

1〜3は用意するのに困らないですが、4の印鑑登録証明書というのがちょっとめんどい。

私は印鑑登録とかしてなかったんで、役所に行って登録しました。混んでなければすぐ終わります。

ちなみに印鑑を登録するとき、どうせだからちゃんとした印鑑(なんか難しい字のやつ)にしようと思って、印鑑をネットでオーダーして新しいものを買いました。

そんな高くないし(4000円位でいいやつ買えました。しかも3~4日で届きました)、そういうちゃんとした判子ってテンション上がります。

はんこプレミアム というところで買ったのですが、かなり調べて吟味したので、私と同じようにこの機会に判子を買ってみようという方は見てみてください。

MPNに登録したあとの流れ

自分のレコーディング経歴をシステムに登録する

無事に提出した書類が通ると、MPNから会員証などが届きます(私は提出から2ヶ月くらいかかりました)。

そうするとP-LOGというシステムで、自分のレコーディング経歴をネットで登録できるようになります。

この時に必要になる情報は

  • アーティスト名
  • 曲名
  • レコーディングスタジオの名前

などです。

レコーディングスタジオの名前とか覚えてるわけないやん、、、となりそうですが、頑張ってメールの履歴など掘りましょう!

登録できる作品は20年くらい前のものまで遡れるみたいですが、そこまでやるのはちょっと大変かもですね(汗)

登録して一年くらい(?)してから、年に二回銀行口座に振り込まれるようになる

私の場合ですが、担当の人からは申し込んでから最短で再来年の6月に振り込まれるようになります、と言われました。

けっこう期間空くな、、、と思いましたが他の人もわりとそんくらい時間がかかっているようです。

実際どれくらいもらえるのか?

では実際のところどれくらいもらえるのか気になるところですよね。

わたしはまだ振り込みがないのでなんともですが、万単位いったら良い方くらいに考えてます。ぜんぜん録音仕事やってませんし。

これは裏話ですがトップレベルで活躍してるミュージシャンの知り合いの話だと一回の振り込みで20〜30万とかそんくらいいくらしいです。

それを聞いたとき、「この人でもそれくらいなのか、、、そしたら普通はもっと少ないんだな」と思いました。

知人から聞いた話

分配金の出所はJASRAC?

※追記 taroさまよりコメント欄にて分配金の出処はJASRACではなくCRPAだというご指摘をいただきました。

 

これは確かじゃないんですが、MPNがとってくる分配金の出所はJASRACだ!と言っている知人がいました。

その知人曰く「JASRACが各所から音楽著作料をとり、MPNはそこからアーティストに配る分配金を請求している。だからこっちが請求しないと、そのまんまJASRACが丸儲けしてるんだ」という話でした。

ちゃんとした確認をとっていないので話半分に聞いて欲しいんですが、JASRACは悪い噂しか聞かないのでそうであってもおかしくなさそうだなぁと思ってしまいますよね。

そういう話を聞くと、JASRACという組織はもっとミュージシャンに対して情報を積極的に開示していくべきなんじゃないかと私はいつも思います。

私以外のミュージシャンもJASRACに対する不信感は相当もっている人が多いですよね。

それはそうと確定申告ちゃんとしてますか?

ここからはMPNとは余り関係のない余談ですが、みなさんはちゃんと確定申告しているでしょうか?

このサイトを訪れてくれたということはMPNについて調べているくらいですし、そのあたりのことはしっかりしているのではないかと思いますが、ミュージシャンはちゃんとしてない人が多いです。

確定申告をちゃんとしていない場合、最悪、追徴課税で何十万も罰則金みたいなものを税務署から徴収される可能性があるので、気をつけた方がいいです。

私の知り合いにバレやしないと高をくくっていたらバレて、痛い目にあった人もいます。

音楽にエネルギーを注ぐのはいいですが、日本で平和に生きていくためには確定申告とか事務的なことにも少し労力を割くことをおすすめします。

ちゃんとやれば自分で確定申告するのは全然難しくないですが、どうしてもめんどくさい人は税理士に丸投げというのもオッケーです(税理士さんは数万円で代行してくれるらしいです)。

最近ではクラウド型の確定申告サイトなどあるのでそういうものも活用して賢く生きていきましょう。

私も「マネーフォワードクラウド確定申告」というサイトを利用するようになってから確定申告がだいぶ楽になりました。

それから請求書もfreeeというサイトを使って管理するようにしたら楽になりましたよ。こちらは無料で請求書作成できるのでおすすめです。

-音楽マネタイズ

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